制動のシミュレーション(遅れ込め制御)

遅れ込め制御は、空気ブレーキと電気ブレーキを協調させる方法(電空協調制御)の一つで、主にVVVFインバータ制御の車両で用いられる方法です。

列車にブレーキをかける場合、基本的な考え方では、各車両が均等に制動力を負担しますが、遅れ込めでは、M車がT車の分の制動力を電気ブレーキによって負担する制御を行います。これにより、制輪子の摩耗が抑えられ、かつ、回生ブレーキの使用によるエネルギーの有効利用が可能になります。

遅れ込め制御では、以下のような方法で制御を行っています。

  1. 運転台からのブレーキ指令を受信し、必要な制動力を演算する
  2. M車の回生ブレーキを立ち上げる
  3. 回生ブレーキによる制動力と、必要な制動力との差分を演算する
  4. 制動力が未達である場合、T車の空気ブレーキを立ち上げる
  5. 制動力がなおも未達である場合、M車の空気ブレーキを立ち上げる

なお、上記の3では、実際の制動力をフィードバックしているのではなく、理論値を制御装置内にて演算しているものと思われます。

また、この制御を行うためには、粘着力や連結器の荷重が条件を満たしていることが必要になります。なお、上記の例では、4でT車の空気ブレーキを優先して立ち上げていますが、JR九州の303系など、全車両の空気ブレーキを均等に立ち上げる制御を行っている車両もあります。